Xリーグ2部降格の真相

2011/05/05

「 産経ニュース : Xリーグ2部降格の真相 35万人都市「吹田マーヴィーズ」の誤算  」

5/5  :  社会人アメリカンフットボールの「吹田マーヴィーズ」は今季、Xリーグ2部でプレーする。昨季、1部で3位だったが、日本社会人アメリカンフットボール協会への加盟費が払えず、自主的に2部に降格した。金銭面が理由での降格はXリーグ初。日本では競技人口が少ないアメリカンフットボールで、地域密着型で運営する難しさが浮き彫りになった形だ。(村田雅裕)

 今年2月、吹田の2部降格が決まると、移籍する選手が増えた。昨季、吹田には59人の選手がいたが、元野勝広代表(33)は「30人ぐらいになるかも」。春の社会人ジュニアトーナメントのパンフレットには16人しか登録できなかった。

 企業チーム内外電機マーヴィーズが発足したのが、1994年。だが内外電機の業績不振から、2009年、大阪府吹田市の市民球団として吹田マーヴィーズが発足した。

 吹田は市民球団をファンクラブ会員を軸に運営した。吹田市民であれば無料でファンクラブ会員になれ、吹田主催の公式戦は無料。さらにファンクラブカードを提示すれば、吹田市内の飲食店などで特典がある。試合への来場者が増え、アメフットの魅力が伝われば会員も増える。カードを提示する客が増えれば広告収入につながる。吹田市民が約35万人。3年目でファンクラブ会員は3万人を目標としているが、2010年度で3700人。目算は外れた。

  それでも2010年度の売り上げは、2009年度の1370万円に比べ、2690万円と倍増。2010年度は主催試合に初めてスポンサーがついた。提携店舗が350店舗になり、広告収入も増えた。100万円単位で売るユニホーム広告にもスポンサーがついたが、それでも260万円の赤字だった。

 チーム運営費、特に協会加盟費が問題だった。Xリーグは強いチームほど費用がかかる。

 1部リーグのみ参加費が400万円かかる。チケットの買い取りなどを含め、1部だと参加費用だけで1部の加盟費は約600万円、2部だと140万円だ。さらに社会人日本1を決めるジャパンボウル進出など、勝ち進むたびに、数百万円の分担金が必要。社会人日本1と学生日本1が戦うライスボウルでも、社会人チームだけ分担金を支払う。

 アメリカンフットボールの競技人口は1万7000人といわれる。ハンドボール(8万人)、ラクロス(2万5000人)より少ない。その中、協会も円滑な運営のために一定の資金が必要なのだ。

 「2009年の発足前に経営計画書をみたが、協会費の見積もりが甘く心配していた」と協会関係者は話すが、その予測は的中した。

 吹田は2009年、10年と400万円が支払えず、2010年は選手1人3000円の選手登録費も全額払えなかった。協会への未納金は約1000万円になっていた。 

 協会は今年1月、吹田に2月10日までに未納金のうち500万円を支払わなければ、2011年度の公式戦登録をしないとの通告をした。吹田は500万円を支払い、その席で2部降格を申し入れ承認された。

 Xリーグ1部西地区には6チームが参加しているが、協会への未払い金がないチームは2チームだけ。観客が1000人に満たない試合が多く、入場料収入が見込めない中、企業の支援がなければ運営は難しい。だが関西の企業チームはパナソニック電工だけだ。

 「チーム運営の最低費用は600万円。これでは勝てない。勝とうとするなら1500万円。強くしするには、さらに費用がかかる。そこに約600万円の協会費が上積みされると、やりようがない」と元野代表。市民球団の運営は2年でつまずいてしまったが、2部からどのような形で1部に昇格するか。「市民球団では無理」との結論を出すには、まだ早すぎる。 



 

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