中学校校長がアメフト世界選手権に審判として初出場

2011/06/22

「 カナロコ :  世界をさばく、市立芹が谷中学校校長・田口眞行さんがアメフット世界選手権に審判として初出場/横浜 」

6/22 :  横浜市立中学校の校長先生が「日本代表」として、世界最高のグラウンドに立つ。7月に欧州オーストリアで開かれるアメリカンフットボール世界選手権に審判として初出場する。キャリア33年の芹が谷中学校校長、田口眞行さん(56)は、その経験と技術が認められ、派遣が決まった。田口さんは「自分にとって最初で最後の世界舞台。体調もいいし、集中してやってきたい」と試合を楽しみに待っている。

 大柄な選手同士が楕円(だえん)球を追って疾走し、ぶつかり合う。その合間で白黒の縦じまのユニホームを着た田口さんが、大きなジェスチャーでジャッジを下す。

 19日、川崎球場。世界選手権で3度目の頂点を狙う日本代表の壮行試合に、田口さんはアンパイアとしてグラウンドに立った。時折、選手のプロテクターの位置を直すなど積極的なコミュニケーションを図りながら、オーストリアに派遣される他の審判とともに的確なジャッジで試合を進行させた。

 「審判同士いい意思疎通が図れ、動きや判断も修正できた。日本代表もいいプレーだったし、本番が楽しみ」

 ■30年間900試合

 きっかけはボブ・ヘイズだった。小学生のころに開かれた東京五輪の100メートル金メダリストが、プロのアメフット選手に転向して1974年に来日。在日米軍チームに加わって日本選抜と対戦した。その試合を見た田口さんは「すごいスポーツだ」と魅せられた。

 進学した中大で迷わずアメフット部の門をたたき、ミドルガードとして活躍。副将まで務めた。卒業後、OB会からの依頼で審判に。以来、英語教諭とサッカー部顧問、家庭と忙しいなかでも、土曜、日曜を中心に年間20~30試合、約30年間で計約900試合の笛を吹いてきた。2007年からは校長の重責も担う。

 だが、アメフットのスポーツとしての醍醐味(だいごみ)はもちろんのこと、「審判にはさまざまな職業の人がいる。そのつながりができた。視野も広がり、学校経営にもヒントになる」と、校外の交流の楽しさも審判を続けている理由だ。

 今では大学だけでなく、Xリーグ(社会人)、高校、中学と各レベルの試合を担当。2000年には社会人と大学が日本一を競う日本選手権(ライスボウル)の主審も務めた。

 ■重要なメカニック

 試合は審判の笛一つで、雰囲気が変わることもある。田口さんは「審判は黒子。存在感がありすぎてもいけないし、存在感がなくてもゲームコントロールができない。危険なプレーに対し、毅然(きぜん)とした態度はもちろんだ」と言う。選手とのコミュニケーションを大事にしており、「反則を犯しそうな選手には事前に声を掛ける」ことを心掛けている。

 さらにアメフットはフォーメーションや戦術、選手の役割などがシステム化されているスポーツ。審判7人の動きも「メカニック(メカ)」と呼ばれ、プレーやフォーメーションによって立ち位置や動きが決まっている。「ルールとメカが両輪。ルールを知っているだけでは駄目」。複雑な動きを覚えた上での正確なジャッジが必要だ。

 ■英語力も求められ

 今回の世界選手権には日本から4人の審判が派遣される。国内で8人が推薦され、これを国際連盟で4人に絞ったという。「経験や技術のほかに、体力も必要。国際大会なので英語力も問われる。田口さんはそういう点が認められた」(日本審判協会の伊藤義樹理事長)。

 本番では8チームが2組に分かれた予選リーグ、順位決定戦のうち計4試合を担当する。予選の試合さばき次第で、優勝決定戦の笛を吹けるかが決まる。だが、日本が頂上決戦に進んだ場合、日本人は審判を務められない。

 田口さんは「優勝決定戦を目指したいし、日本にも勝ってもらいたい。複雑ですね。いずれにせよ、選手が勝っても負けても満足できる試合、全力を出し切れる試合にしたい」と、“審判人生”の集大成に備えている。



 田口 眞行(たぐち・まさゆき)中学、高校時代はサッカー部。1978年に中大を卒業し、横浜市立中学教諭。市教育委員会などを経て2007年から校長職。芹が谷中は校長3校目。東京都新宿区出身、鎌倉市在住。167センチ。56歳。

 ◆アメリカンフットボールの審判 レフェリー(主審)、アンパイア、ヘッド・ラインズマン、ライン・ジャッジ、バック・ジャッジ、フィールド・ジャッジ、サイド・ジャッジの7人で構成される。ポジションによって呼び名と役割が変わる。白黒の縦じまシャツに、レフェリーは白い帽子、そのほかは黒い帽子を身に着ける。

 ◆アメリカンフットボール世界選手権 1999年に6カ国でスタートし、4年に1度開催。2007年には川崎市で行われた。第4回の今回は8カ国が出場し、7月8日に開幕、16日に優勝決定戦。日本は過去優勝2度、準優勝1度。

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