【とことんインタビュー】米倉輝さん

2011/01/13

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◇◆立命館大学アメフット部ヘッドコーチ 米倉輝さん(39)◆◇

■戦略分析など理系学生貴重

 ――学生日本一を決める昨年12月の甲子園ボウルで、2年ぶり7回目の優勝を果たしましたね。

 関西地区は、うちを含めた3校をはじめ、京都大などの強豪がひしめき合っています。今年は関西学生リーグでも関西学院大、関西大と同率優勝でした。関東よりもレベルが高いので、(関西以外の大学と対戦する)甲子園ボウルで負けるのは屈辱です。

 ――(社会人王者と戦った)今月3日のライスボウルは残念でした。

 我々は常に日本一をめざしているので、この敗戦は正直悔しかったです。

 ――中学、高校時代は野球部だったそうですね。

 伊勢高校では1年の秋から4番でキャッチャー。県大会ではベスト8が最高でした。大学でも野球をやろうと思ったのですが、185センチ、110キロと大柄だったので、アメフット部に勧誘されました。攻撃を指揮するクオーターバックになりたかったのに、体格のせいか、最前線でぶつかり合うオフェンスラインを任されてしまいました。

 ――大学からアメフットを始めても通用するのですか。

 今でこそ選手の8割近くは高校からの経験者ですが、私の学生時代は他のスポーツから転向する選手が半分くらいいました。今も、高校時代は和太鼓をしていたという選手がいますよ。やる気と情熱がある学生は歓迎します。

 ――どのような練習をしていますか。

 ヘルメットやプロテクターをつけた練習は、夏から冬にかけての半年程度。ふだんは筋力トレーニングと走り込みが中心ですね。アメフットは戦術が多彩なので、毎日1時間半はミーティングに充てています。学業を優先し、練習は夕方から2時間。地域貢献も意識し、地元の小学校に選手が出向いてフラッグフットボールの指導もしています。

 ――コーチやマネジャーを含めると大所帯ですね。

 試合時にグラウンドで活動するのは総勢約170人。背番号が与えられる選手は99人で、残りはコーチと学生スタッフです。

 アメフットは学生スタッフの仕事が非常に重要です。選手の体調管理や他校の戦略分析の補助など仕事はたくさんあります。情報処理能力が高かったり、運動生理学を学んだりしている理系学生は貴重な戦力です。「入学式では、理系学生のメールアドレスを一人でも多くゲットしろ」と指示しています。

 ――三重県にはアメフット部のある高校がありません。

 関西と関東以外では、まだまだマイナースポーツかもしれません。ただ、身体接触の少ないフラッグフットボールは全国の小学校でやっていて、裾野の広がりは感じています。甲子園ボウルへの出場は関西と関東の大学に限られていましたが、2年前から地方リーグの優勝校にも出場できるチャンスが与えられ、昨年は南山大学と戦いました。実力差はありましたが、「一泡吹かせてやる」というものすごい気迫が伝わってきた。興味のある若者はぜひアメフットに挑戦し、日本一をめざしてください。
(聞き手・安田琢典)

◎米倉輝さんの略歴 松阪市出身。1990年に立命館大学法学部入学。2年生からレギュラーとして活躍し、卒業後は1年間、社会人の鹿島でプレー。96年から母校のオフェンスコーチを任され、2009年にヘッドコーチに就任した。立命館大アメフット部は、学生日本一を決める甲子園ボウルを7回制し、社会人と日本一を争うライスボウルも02、03年の連覇を含め3度の優勝を誇る。


 

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